2009年4月17日金曜日

芝居のこころ -前編-

 江戸の良さを見なおす会の発足当時から、実に様々な会から研究会等へのお誘いを頂いて参りました。今から思えば、学ぶ内容は違っても、その根本にある熱意や信念という共通点があったからでしょう。

 中でも「足立史談会」の皆様にはとても良くして頂き、浦島講師は「足立史談会だより」(平成2年5月15日発行)に寄稿させて頂いたこともございます。こちらの会の皆様は現在もとても熱心で、その精力的な活動には、一つの会の代表として頭の下がる思いです。

 今回は、その「足立史談会だより」において浦島講師が寄稿させて頂いた「芝居のこころ」をご案内させて頂きたいと存じます。

以下原文ママ

 江戸のお芝居は、自分を映す鏡のようなものでした。過去の自分を映してみる。現在の自己を見る。未来の己(おのれ)をみてみる。同様に、他人様をみてみる。世間とのかかわりを眺めてみる。
 ときに、こじきになってみる。あるときは大名に変身する。まだ経験しない職業を芝居で体験し合う。
 ことに、江戸寺子屋の稚児芝居は世界に例の無い人間教育だったと私は思っています。

 いまふうに言ったら、医者、看護士、薬剤士、保母・保父、銀行員、警官、スリ、スチュワーデス、デザイナー、ディレクターなど、世の中のありとあらゆる職業を芝居の上で演じ、自分が何に一番むいているかを本人はもちろん、師匠も親も、ともに知ることができたのです。

 とどのつまりは、家を継ぎ、親の仕事を見習うのが一番の近道と悟る者が多かったそうです。いまのドラマのように、いやいや家業を継がせるようなヤボなことは決していなかったようです。
つづく

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