2009年2月5日木曜日

立春大吉

一年の始まりは立春から

 毎年この時期になると、江戸に縁(ゆかり)のある有名な料理研究家の方に、立春大吉の縁起の良いごあいさつを頂戴しております。
 皆様ご存知の通り、立春から24節気が始まり、この節分けの前日が節分です。立春には正月、節分には大晦日の役目があり、一年間の厄払いのために豆まきを行います。「福は内・鬼は外」でございますね。
 下記は、芝氏がご幼少の頃に節分のことをお書きになったものです。家族団欒のご様子が手に取るように書かれています。

「芝氏、10歳の頃の作文より」

昭和12年2月4日
 豆まき
 ぼくは、きのう上村君や田ざわくんとあそんでゐたら二人ともかへってしまったので、ほくは、おうちにはいると豆はもういってありました。おばあさんは、「これから、神だなにおそなへするんですよ」とおっしゃいました。
 それからだんだんくらくなると、おとうさんが、「うちでも豆をまくかあ」とおっしゃいました。
 そして、神だなから、豆を下ろしてくださいました。ぼくはすこしはづかしいとおもいましたが一生けんめいやろうとおもって、ますをかかへました。
 「福は内 福は内 鬼は外とこえを大きくしてゐいました。一ばん始めは、三でふをまいて、それから六でふまいてからだんだん次のへやをまいてあるきました、一ばんしまひにえんがはに立って、「福は内 鬼は外」。
 とできるだけ大きな聲をだして、まきました。をはりに、ゆどのをまきました。大きな聲で、「鬼は外 鬼は外」と、いひました。その時おぢいさんがかへってきて「豆はもふまきましたか」、とおっしゃいましたので、もうすっかりまきましたと、ぼくが、いひました。おぢいさんが、まだ豆はたべませんかと、おっしゃいました。ぼくは、「まだたべません、おぢいさんと」とゐふと、おぢいさんはもふ、豆をそろそろはべはぢめるかなはとおっしゃったので、豆を年のかずだけたべました。
 おかあさんは、「和雄、これからわ、今までよりもずっとべんきょうしなければいけませんよと、おっしゃいました」。
 ぼくも、まへよりか、一生けんめい勉強して、今年もゆうとうをもらをうとおもいました。おとうさんも、「おまへもう十になるからまへよりえらくならなければいけない」とおっしゃいました。それからおゆふにはいって、ねました。
原文ママ


 昔は、自然の景色の変化から季節の移り変りを把握していました。「自然暦」を大切にしていたのです。
 江戸の心は自然流というコトバも江戸しぐさの教えにあるように、私どもは日々自然を感じ、自然と共に生きております。「無理をしない・無理押しをしない」などは自然をお手本とした江戸しぐさでございます。

芝氏はこう書き残しておいでです。

 「ミドリ(青味)枯れる、シグサ(仕草)枯れる」「ながめて飽きぬは、木々の緑と人の仕草」


 また、浮世絵にも24節気のことが多く描かれておりますが、江戸のノスタルジアと軽んじることなく、今後も研究を続けて頂くことを願うばかりです。

 四季折々の行事を、家族や地域で行う余裕を失った代わりに手に入れた物質的な豊かさ。それを急激に失いつつある今日にこそ、江戸しぐさは必要だと思っております。

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